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水野高志ブログ

・困った遺言、自筆証書遺言で大丈夫か。

以下は、平成19年の愛知県司法書士会の研修会、講師、浅井知子会員の「困った遺言」研修用レジュメから引用しています。『民法では、遺言の様式として、自筆証書遺言が認められているものの、専門家が関与しないで作成されたものの中には、自筆、作成期日記載、署名、押印の形式を備えず無効とされるものもあれば、形式を備えてはいるものの、その内容については、明確さを欠くがゆえに、せっかくの最後の意思が実現できなかったり、相続人間の紛争を避けるために遺したにもかかわらず、紛争の火種となってしまうものが少なくない。』『無効な遺言が使用できないのはもちろんだが、不明確な内容の遺言を使用して、被相続人の意思実現をするには、相当な困難がつきまとう。


遺言中の表示によっては、相続人、指定財産等が明確に特定できない場合などは、その程度如何では、疎明資料をもって不動産登記等を実現できる場合もあるが、第三者が客観的に判断できない場合、「遺言の解釈に当たっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探求すべきものであり、遺言書が・・・・」との判例にのっとり、遺言に依拠しようとするならば、裁判によるしかない。さもなくば、遺産分割協議をするしかなく、遺言者の意思が、まっとうされないおそれが大きい。』『最後の意思の実現を確実とするためには、遺言書作成について、専門家を関与させることが肝心であることを、改めて思う。保管の問題や相続人間の疑心を払拭するためには、公正証書がさらに望ましい。念には念を、である。』

自筆証書遺言は、遺言者の死亡後に裁判所で、相続人全員を呼び出して面前にて遺言書を開封する検認手続きが必要となります。裁判所の検認手続は、遺言を開封する手続きなので、裁判所が遺言内容が有効であるとか遺言内容を強制的に実行してくれる、という手続きではありません。


したがって長男に家を継いで欲しい、子どもたちで仲良く分けて欲しい、とか具体的に相続させる旨の文言が入ってなかったり、相続財産を確定する記載が不明確な場合も多いです。相続財産である不動産や預金が明確に相続できる記載内容でなければ、裁判所の検認手続を経たとしても、後日、相続人間で必ず遺言証書の内容、意思などで問題が発生するので、不明確な遺言では法務局、銀行などでも相続を受理しません。

 

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